よく「高速道路に乗る前は空気圧を高めにした方が良い」と聞きませんか?
ドライバーの方であれば一度は耳にしたことがありますよね。
でもタイヤの空気圧って、なんでわざわざ高めにすべきなんでしょうか?
そして本当に高めにした方が良いのでしょうか?
この記事では、タイヤの空気圧調整について正しく解説していきます。
タイヤの空気圧の標準値はどこで確認?
タイヤの空気圧の標準値って、実は車ごとに決められています。
さらに同じ車だとしても、グレードによっては装着タイヤのサイズが異ることもあり、標準空気圧も異なる場合があります。
・車に付属の取り扱いマニュアルを参照する
・車のボディに付いてるステッカーで確認する
国産車であればだいたいドアを開けたピラー部分にシールが貼ってあると思います。
輸入車だと給油パネルの裏など別の場所にあることもあります。
場所がわからなければマニュアルを参照しましょう。
タイヤの空気圧を高くするとどうなる?
タイヤの空気圧を高くすると、路面に対するタイヤの接地面積が少なくなるので転がり抵抗が減少します。
つまりタイヤが転がりやすくなります。
メリット
・ハンドルが軽くなる。
・燃費が良くなる。
・空気を多めに入れておけば小まめにエアーチェックをしなくて済む。
デメリット
・グリップ性能が下がる。
・乗り心地が悪くなる。
・空気圧が高すぎるとタイヤのセンター部分が編摩耗してしまう。
タイヤの空気圧が低いとどうなる?
タイヤの空気圧が低いと転がり抵抗が増えてしまいます。転がりにくくなることで、様々な弊害が出てしまいます。
メリット
特に良いことはありません。
大きな事故につながる場合もあるので、早急にタイヤの空気圧点検をしましょう。
デメリット
・ハンドルが重くなる。
・燃費が悪化する。
・タイヤがショルダー摩耗(タイヤの両サイドが減る)する。
・スタンディングウェーブ現象を起こす。
(スタンディングウェーブ現象:タイヤの空気圧が少ない状態で高速走行をすると、タイヤが波打つように変形し急激に発熱し、バーストする危険性が大となる)
そもそも何でタイヤの空気って減るの?
簡単に言ってしまえば風船と一緒です。
風船は数日で空気が減りしぼんでしまいますよね。
実はゴムの分子の隙間ってけっこう広く、空気が少しずつ抜けてしまいます。
だから新品のタイヤでも空気は減るので定期的な空気圧点検は必要なんです。
だいたい1ヵ月で5パーセントくらい減ると言われています。
そのため空気圧点検は、できれば1~2ヵ月くらいの間隔で点検することをオススメします。
なぜ高速道路では空気圧を高くした方が良いと言われているのか?
「高速道路では空気圧を高めにする」というのは、実はかなり昔の話。
ひと昔前のタイヤはバイアス構造といって、今のラジアル構造と比較すると性能がよくありませんでした。
特に空気圧低下時のスタンディングウェーブ現象が、ラジアル構造のタイヤと比べて非常に起こりやすかったんですね。
高速道路でタイヤがバーストしてしまうと大きな事故につながってしまいますので、高速道路に乗る前は空気圧を高く調整すると言われていました。
現在はラジアルタイヤに変わっていますので昔ほどリスクはありませんが、『高速道路では空気圧高め』の話だけは今でも語り継がれているということになります。
空気圧調整の正しい調整とは?
現在のタイヤは特殊なものを除きすべてラジアルタイヤです。
高速道路を利用するからといって、わざわざ高めに調整する必要はありません。
空気圧は各自動車メーカーが設定した標準値に設定することを基本オススメします。
理由としては、高速道路では安全な走行を第一優先にすべきだからです。
前述したとおり、空気圧を高めにすると路面に設置する部分が減るので、タイヤのグリップ不足やハンドルの操作性に影響がでることもあります。
高速道路に乗る前は空気圧を高めにするのではなく、標準値より低下していないかの点検を行うのが良いでしょう。
ただし普段あまり車に乗らない人は逆に空気圧を高めにしておく方が良いかもしれません。
タイヤの空気は自然に減るので、久々に車に乗ったらタイヤの空気が少なくなっていた、という事態を防げます。
また少しでも燃費を良くしたい方は、若干高めにしておくのも良いでしょう。
いずれにしてもタイヤの空気圧チェックは定期的に行うようにしましょう。
空気圧調整時の注意点
空気圧を調整する際、下記の2点に注意しましょう。
(1)空気圧調整は、タイヤが冷えておる状態で行う
長時間ドライブした直後だと、タイヤの表面温度が高くなっているので中の空気の温度も上昇し内圧が上がっています。
この状態だと正しい数値が測れません。
どうしても急いでいる場合は、若干高めにして後日再調整するようにしましょう。
(2)過度な空気の充填は大事故につながります!
空気圧を高めにする場合、基本的には1割増しくらいで良いでしょう。
標準値が200kPaの場合、220kPaくらいが目安です。
ただし燃費を良くしたいからといって空気の入れすぎは要注意です。
そもそもタイヤに充填されている空気の圧力は尋常ではありません。
そして風船に空気を入れすぎるとボンッと破裂するように、タイヤも破裂します。
空気充填中に目の前でタイヤが破裂すると大事故になります。
実際に毎年数件~数十件の死亡事故があります。
特に劣化してヒビ割れがひどいタイヤは破裂の危険性が高くなるので注意が必要です。
まとめ
高速道路に乗るからタイヤの空気圧を高くするというのは、現在では事情が違っています。
基本的には各車の標準値に調整すれば良いですが、使用の用途によっては1割程度高めに調整しても良いでしょう。
ただしいずれの場合でも小まめな空気圧点検は必要ですので、ドライバーの方はしっかり心がけるようにしましょう。